名字が変わると不便?
名字が変わっても、特に生活は変わらないでしょう?不便なことってあるの?
まず、一番わかりやすいのは、生活の中の「名前」を全部書き換えなくちゃいけないことだよね。
お財布の中にあるものを見てみて? 銀行のカードとか、マイナンバーカードとか、保険証とか、全部名前が書いてあるよね。
そうか!これは全部、名前を変えて、新しいカードを発行してもらわないといけないんだね。
カードがない契約や登録も全部名前を変えないとね。
でも、それはまだ序の口なんだ。
え、変えちゃえば、あとは大丈夫じゃないの?
変えた「後」も、特に海外に関わることでは大変なことがたくさんあるよ。
同一人物だと認めてもらえない?
日本だと、結婚したら新しい名字で仕事もするよね。学校の女の先生も結婚して名字が変わったのを見たことあるよ。
日本だと当たり前だよね。でも海外に出ると、結構大変なんだ。
何が大変なの?パスポートの名前を変えたら、海外で本人確認もできるし大丈夫じゃない?
例えば、将来あなたが海外の大学に留学しようとしたり、仕事で国際的に活躍しようとしたりするとき。
うん?そのときは、新しい名字の書いてあるパスポートが証明書になるよね!
もちろん、今の自分の氏名の証明書としてはパスポートが使えるけど。旧姓の証明が必要なときは、どうする?
旧姓の証明かー。どんな書類が証明書として使えるの?
それがなんと、「姓が変わる前後の名前と、それが同一人物だと直接証明する公的な書類」は日本にはないんだ。
ないんだ!でも名字を変えたあとに、旧姓の証明をすることって、あんまりないんじゃないかな?
例えば名字が変わる前の学歴とか、研究の実績は当然旧姓で記録されているよね。その記録を名字が変わったあとに使おうとすると…
たしかに、新しい姓のパスポートじゃ氏名が一致しないね。
名字が変わる前の高校や大学の成績表を持って留学先に行っても「名前が違うから受け付けられません」って言われちゃうかもしれないってこと?
そうなんだ。そのたびに「旧姓で活動していた人と、今の名字の人は、間違いなく同じ人物です」っていう証明書類を用意しなくちゃいけないよ。
直接の証明書がないから、戸籍謄本や住民票、別の書類を組み合わせて、それを外国語に訳して、証明しなきゃいけないんだ。
いくつもの書類が必要になるんだね。翻訳も業者に依頼したりするのかな。お金もかかりそうだ…。
翻訳した書類は、そのままだと証明書として使えなくて、ちゃんとした書類だと証明するためには公証役場に行ったり、外務省に書類を出したりもするんだよ。(4)公文書を外国語に翻訳して外国へ提出する場合
ひえー。海外で活動する人は、苦労しそうだね。
改姓がキャリアの妨げに
特に深刻なのは、海外で働き始めたときだよ。海外の銀行で口座を作るとき、パスポートと、学位証明書や資格証の名前が違うと、同一人物だと認めてもらえず、口座開設を拒否されることもあるんだ。
ええっ、銀行口座が作れないと給料も受け取れないし、生活に困っちゃうよ。
他にも、国際的な専門資格を旧姓で持っている場合、更新手続きが難しくなったりもするよ。
資格が必要な仕事に就いている人にとっては大ピンチじゃない!
ただ名字が変わるだけで、こんな面倒と一生付き合わなきゃいけないの…。
国内でも国外でも、生活や仕事の中で、こういう不便と付き合っている人が今もたくさんいるんだよ。旧姓の通称使用の限界に関する指摘の例(令和2年度に実施した意見募集等に基づく把握)